マンチェスター・シティ
チームを取り巻く状況に思うところがないわけでは無いが(1年半後にどれだけデカい溜息をつかなければならないかと思うと......)、それでも今年彼らが成し遂げたことを思い返すと胸が熱くなる。画面越しとはいえ、選手やスタッフ、サポーターの人たちにとっての最良の瞬間を目撃することはいつだって良いものだ。その中に自分が含まれていると認識しているなら尚の事。
遂に彼らの試合を生で観戦することができたのも嬉しかった。当然選手たちのプレーにも唸ったが、個人的には国立競技場にシティのユニフォームを着用した人々が多く集っていたことにも驚いた。今まであまり実感できていなかったが、ファンベースが確実に存在するんだなと理解することができ、正直皆に仲間として話しかけたいくらいの気持ちだった。
SC相模原
プレミアリーグの中継でいつも素晴らしい解説をしていた戸田和幸がJリーグの監督に就任する、しかもチームの親会社はDeNA......というところに縁を感じ、足を運べる範囲だし来季は相模原まで試合を観に行ってみるか、と軽いノリで決めたのが昨年の終盤。気がつけば自分の中でSC相模原はすっかりJリーグでの贔屓球団という位置に収まった。
ルーキー多数のとても若いチーム故かぎこちなさも大いに感じられるものの、好調時は一貫して後半にギアを上げる姿勢がハマっていたのは戸田の修正能力によるものなのだろうか。この特徴から、劣勢でも最後までわからないぞと思わせてくれたため飽きたり失望したりせずに試合を観ることができた。
シーズン序盤は4-2-3-1でとにかく速いテンポで繋いでいき、機を見て一気に前を向く......という形で進めようとしていたが中々その方針と陣容が噛み合いきらず、本当に苦しい内容の試合が続いていたが、夏のマーケットで瀬沼や岩上といったベテランとGKの東ジョンが加入し3-1-4-2にフォーメーションを変更すると調子が上向いた。シーズン中盤以降は毎試合のように日替わりヒーローが生まれていたが、エース的な存在がいないというスカッド上の弱点とそれをカバーできるチーム全体の能力の底上げができているという喜ばしい傾向の両方によるものだろう。
最終的には降格圏も脱してシーズンを終えた。序盤の厳しさを思うと大きな成果と言っていいだろう。終盤に素晴らしい決定力でチームを牽引した安藤と増田のツートップ、安定したセーブとフィードを見せていた東ジョンの移籍が決まったのは残念だが、豊富な運動量で貢献していたWBの加藤やセカンドストライカーでゴールへの嗅覚が際立っていた藤沼、キャプテンも務めた瀬沼といった辺りは残留しており、来季も一定の期待はできると感じている。
度々相模原ギオンスタジアムで彼らの試合を観た。一度友達も誘ったが大概一人でふらっと訪れて適当に何か食べてビールを飲んで、という感じで、自分と同じような独り者・家族連れ・選手の追っかけっぽい姉ちゃん・招待でもされたのかというような老夫婦と普段は全く接点もなさそうな色々な層の人々が集い楽しんでいる光景と雰囲気を自分もそれを構成する一員となりながら感じることの楽しさに浸っていた。来季はアウェイの試合も観に行きたい。
シェフィールド・ウェンズデイ
友達が贔屓にしていることから自分も追い始めた。昨季終盤はちょっとした足踏みによって自動昇格を逃し、今季は最低最悪のオーナーによってもたらされた混乱でスタートダッシュに失敗し残留はやや厳しそう、と不運さは否めないが、監督交代後は前向きなムードになっていることから決して将来は暗くはないだろう。
だが、ここにスペースを割いたのはこれから記すことを伝えたいからだ。もし貴方がフットボールを少し知っているなら、いや、もし知らなくても彼らがEFLリーグ1(英3部)からEFLチャンピオンシップ(英2部)への昇格を以下に実現させたかを知れば心が震えるに違いないだろう。
2戦ある昇格プレーオフ準決勝の1戦目でまさかの0-4の大敗、絶望的なムードの中迎えた第2戦では何と4得点し通算スコアで追いつき、延長戦でも一度リードされながら再度追いつき、最後はPK戦で勝利。こんな奇跡の逆転劇は早々起き得ないだろう。
そしてフットボールの聖地たるウェンブリー・スタジアムでの決勝戦、再び突入した延長線の最後の最後にゴールを決めたのは父親もウェンブリーのヒーローであったウィンダス。こんな劇的なドラマを次々に見せられたら心奪われざるを得ない。フットボールは確かにただのスポーツかもしれないが、時にそれ以上の何かを我々の心に刻むのだ。