イングランド・プレミアリーグ 第1節
お盆の時期と被ったので全10試合中5試合をリアルタイムでチェックすることができた。
マンチェスター・シティはトッテナムにあっさり敗戦。メンバーが国際試合帰りで調整が......等事情が色々あるだろうが、それにしても物足りない内容だった。ボールを失った際のメンディの反応の遅さ(あれでは確かに横にいるのはロドリではなくフェルナンジーニョでないと守備が破綻してしまうだろう)、アケの慌て方、劣勢になるに従って判断ミスが多くなるカンセロといった面々を見ていると、昨季の優勝がディフェンスラインの質の向上によってもたらされたものであり、裏を返せばその質が保証されているレギュラー陣が欠けた場合苦しい戦いを強いられるのは必然(それこそ昨季のリバプールのように)だということを再認識させられる。
ただ、ソン・フンミンの素晴らしいゴールが決まってからデブライネが投入されるまでにみられた攻守における不安定さは個々人の資質の問題ではないようにも感じた。明らかに策に窮しているのに一旦落ち着こうという雰囲気に持っていこうとする気配も出てこない。アウェーで大観衆に囲まれているからなのか?ボールを持ち続けて押し込み続ける横綱相撲しかできないのであれば上位陣との対戦は厳しくなるし、カウンター対策をしっかりしていないと拾える勝ちも拾えなくなると思うが......
新加入のグリーリッシュは非常に良い働きをしていた。前半の「メンディ-グリーリッシュ-スターリング」の並びもなかなか良かったが、終盤にジンチェンコとデブライネが加わりグリーリッシュが一列前になってからは完全に「いつものシティ」となり頼もしく見ていられた。フォーデンが戻ってくるのがより楽しみになった。
アーセナルは......「スミスロウがなんとかしたあとティアニーとサカがなんとかする」では難しいだろう。試合終盤にアルテタの切羽詰まった顔を眺めるのもお馴染みになってしまった。ウーデゴーアが合流したら打開されるのだろうか。ユナイテッドはひたすらポグバとブルーノが凄かった。レスターは思っていたほどウルブスを圧倒するわけでもなくやや肩透かしな印象。リバプールは流石に格が違っていた。
つらつらと書いたけど今季はチェルシーが優勝すると思っています。ケインが本当に来たら?いや、それでもどうかな......
月ノ美兎『月の兎はヴァーチュアルの夢をみる』
VTuberにそれほど入れ込んでいない身で言うのもちょっと筋違いかなと思わなくもないが、それでも月ノ美兎の存在は別格だと思っているところがある。エンターテイナーとしてのサービス精神の強さ、マニアックなトピックの取り上げ方と決してそれを「分かる人にだけ分かればいい」という開き直りのみで取り扱おうとはしないバランス感覚、他にも様々な面が彼女の魅力としてあげられるであろうが、個人的には以下の発言に現れている姿勢に感じ入る。
「10年前とかの懐かしいサイトの話たまにするじゃないですか。着々と私もその一部になれているなと思うと、すごく嬉しいんですよ」
「もし私がネットに姿を現さなくなったとしても、月ノ美兎ってそういえばいたよねとか、そういう話を誰かがするとするじゃないですか。多分1人くらいはしてくれると思ってるんですよ」
「私は、ネットの歴史のちっちゃな一部になれたことが、とっても嬉しいです」
文化は記憶の積み重ねによって成り立っていく。そのことを自覚しながら、今目の前にいる受け手だけでなく、遙か遠い場所にいるかもしれない未だ見ぬ誰かと自らの残したものが出会うことに思い至らせながらなされる表現ほど、希望と信頼に満ちたものがあるだろうか?
このアルバムは、月ノ美兎というキャラクターのイメージソングを集めたものというよりかは、彼女のそういった表現への姿勢に呼応した作家たちにより注ぎ込まれた様々な音楽のニュアンスが2021年のポップ音楽集としてまとめられた作品だと感じる。『ウラノミト』の流麗なジャズ/フュージョン、『光る地図』のハイパーなフットワーク・ワルツ、『浮遊感UFO』のむせ返るようなニューウェーブ、『NOWを』ではいとうせいこうの導きによりリントン・クウェシ・ジョンソンまで顔を出すし、『みとらじギャラクティカ』においてですら夕方アニメのED曲とナードコアの向こう側にアフリカ・バンバータの幻影がう〜〜〜〜〜っすらと見える。
ただし、各作家によって新たに持ち込まれた要素が(時に意外性も伴いながら)月ノ美兎のイメージを補強したり拡張したりしても、彼女は自分のルーツや今いる場所を忘れることもない。『それゆけ! 学級委員長』での所信表明だけでなく、『Moon!!』のリメイクを最後に置くことで出自を再度明確にしながらアルバムを〆る義理堅さには驚かされる。我田引水な深読みをすれば、1曲目も自らが表現の素材として再利用されることで、彼女自身が親しんできたような文化のサイクルの一部に組み入れられることを肯定しているともとれるし、そんな視点がダブとリンクしていることが楽曲で示されているのが興味深い。
こうやって各曲のジャンル分けだけ書き出すと全く統一感がないが、それでも飽きさせない作りになっているのは当然曲順などディレクションがしっかりしているのもあるが、やはり我々が知っている月ノ美兎という存在に抱く印象—決して表街道だけを進んでいくわけではないが、万人に開かれた存在であろうという態度は失われない—がこの作品の至るところから感じ取れるからであろう。
表現者としての姿勢や展望が共同作業者と共有され、それに基づき志高く作られた成果物、というと大仰すぎるので別な表現にすると、多大なとっつきやすさでどんな人間も受け入れようとしながら少しのマニアックさによる「癖」も忘れない、聴き手を楽しませようとするエネルギーに満ちた間口の広いアルバムだ。自分はここに明るい未来を見出したい。次の作品も出るといいなと思う。
宝鐘マリン『Unison』
謎めいた曲。無軌道に盛り上がるわけでも体が動いてしまうグルーヴがあるわけでもなく、かといって無機質さを目指しているわけでもなさそうな忙しないビートに簡素すぎるアレンジ、そこに乗る船長のアニソン歌唱(ミックスも変じゃない?)、はっきり言って何がしたいのかわからない。同作者の『Hyper Bass』も変な曲だったがまだ盛り上げどころなどは分かった。だがこの曲は最早現在我々が有しているリテラシーでは図りきれないものが示されているような気がしてくる。それとも良い音響でデカい音で聴いたら飲み込めるのだろうか?完全にオタク文化の住人でクラブと縁遠そうな船長がこれを歌うというのも面白い。
お酒
オチが思いつかないので最近飲んで良いなと思った蒸留酒情報をシェアして終わりにします
・STOCKHOLMS BRANNERI NAVY GIN
香りを楽しもうとすると度数の高さで泥酔突入しがち
・Diplomatico Reserva Exclusiva
甘い香りでそんなにクセがないラムは大概好きです