2022

デペッシュ・モードの各アルバム時期ごとのB面集がSpotify上でも聴けるようになっていたことがきっかけで、4月頃から今一度カタログをさらい直した。
7インチの尺で聴くと微妙だった曲がロングミックスだと良く聴こえたり、シャーウッドにダブミックスをやらせていたりと気付きが色々あり、理解が深まった。
彼らの曲を聴いて思うのは、重苦しい題材を取り上げてもどこか軽薄さが漂うが、それが楽曲の美しさが失われることに繋がらない、むしろ魅力を深めているということである(特に『Construction Time Again』以降)。その美しさの洗練が極まったのが『Violator』であり、この作品がキャリアのピークであると考える人は多いのではないか(少なくとも私はそうだ)。

おそらく本邦と欧州圏とで最も知名度に差があるグループの一つであり来日公演は望むべくもないのが悲しいところだが、未だ活動を続けていることは尊敬に値するし、いつか何がしかの形でライブを見られたらいいなと思っている。
R.I.P Andy Fletcher.

www.youtube.com

 

2021-22シーズン最終盤のマンチェスター・シティは見ていて辛かった。最終ラインが次々と離脱していき文字通り身を削る戦いとなった中、あまりに痛すぎるCL準決勝での逆転負け。リーグ第37節も何とかドローに持ち込んだが勝ちきれず、引き分け以下ならV逸ほぼ決定の最終節も後半途中で2点ビハインド。1年間思い入れを持って選手たちを見てきた分、このまま彼らが何を得ることもなく終わるという結末はより受け入れがたいものだった。

www.youtube.com

だからこそ、この逆転劇は一生忘れられないものとなった。93:20モチーフのユニフォームをまとった彼らがコトを起こした光景は、まさに10年前の歴史に残る歓喜と同様に、魂とか、気持ちとか、そういう何の根拠もないものだが、意志を持ち続けることで確かにそこに現れるのだと感じられてしまう何かによってもたらされたのだと感じた。
そしてハーランドがやってきた。強いだけではなく色々な種類の上手さもあるとか言及したいことは多々あるが、今はとりあえずとんでもないプレーを見て目を丸くし喜ぶことに全精力を注いでおこうと思う。

youtu.be

 

元々月ノ美兎は好きだったが、周央サンゴと壱百満天原サロメの大バズりっぷりでにじさんじの面々に興味が湧いて一通り所属者の顔と名前を覚えたのが夏頃。「なんか沢山いる」類のこういうコンテンツでは往々にしてあることだが、「全部同じに見えてどこがどう違うのかわからん」ものほど「どこがどう違うのか」が頭に入ることで解像度が一気に上がり楽しみ方がわかるようになるが、久しぶりにそういう導入の体験をした。
触れてわかったのは、特にクオリティやムードに信頼をおいている一部の演者による配信や動画については指折り数えてモニタの前で開始を待つという接し方をするものだが、そうでなくてもYouTubeでチャンネル登録だけしておけば、暇な時にページを開くと誰かが何かしらやっているのでそれを流しておく、という従来のテレビみたいな立ち位置にもなるコンテンツであるということだ。特に昨今ではテレビ番組の方が「TVerなどで好きなものだけ好きなタイミングで見る」という接し方をある程度許容しているのもあり、自分の中ではこれらの間により差を感じなくなってきている。
委員長よどうか健やかに過ごしてくれ.....とかクレアさんが時たまふざけに振り切ったり頑なさを垣間見せる瞬間が面白いとかさんばかでは戌亥が一番魔力あるかもしれんとか雨森小夜から感じる異質さに惹かれるから復活してくれんかなとか長尾が英語頑張ってるの見ると前向きな気分になれるとかVoxが歌枠でDMとNO歌っててビビったとか多々あるが、一番好きだった配信はこれ。無意味さだけがひたすら精緻に積み上がっていく様からは「生産性」がない故の豊かさのようなものを感じる。

www.youtube.com

 

『ソード・シールド』のワイルドエリアと『〜アルセウス』でオープンワールドポケモン楽しいね、となっていたところにリリースされた『スカーレット・バイオレット』は、シリーズ最高傑作といっても差し支えないものであった。
まず言及しなければいけないのは、いくらなんでもこのご時世でオブジェクトが沢山あるエリアだと動きがカクカクになるのはナシでしょ、ということだ。あと図鑑が使いにくすぎる。パフォーマンスはハード側の性能もあるからどうしようもないが、システム周りが退化しているのは酷いとしか言いようがない。
しかし、そんなことはこの作品で得られる体験に比べたら些細なものでしかない。ポケモンが文字通りその辺にいる世界の中で、歩き回ったりミライドンに乗ったりして道なき道を行き続けることの何と楽しいものか!幼い頃、第1作を遊んでいた時になんとなくイメージしていた光景が正に眼前に広がる様子には興奮を覚えるほかなかった。
そして私が『スカーレット・バイオレット』を最高と称する理由はそれだけではない。今までの各作品では正直添え物程度にしか捉えていなかったストーリーも今作では素晴らしかった。3つあるシナリオはどれも衒いのないもので、そこで積み重ねたものがあっての最終局面......人は何を「宝物」として得ようとする/得るのか、ということが示されるあの展開には、第1作冒頭でも引用されていた『スタンド・バイ・ミー』がモチーフになっていることもあり、より心動かされた。
旅パ。トリックフラワーが強くてほぼ一本槍で通せたマスカーニャはどうだんを覚えさせて悪タイプ叩いてワッハッハのサーナイト、HPの高さとあくびで渋く活躍したドオー、命中率が不安な技が多くて活かせるか不安だったのでアイテムでなんとかしたセグレイブ、むねんのつるぎが便利すぎたソウブレイズ、ほっぺすりすりにより捕獲要員として働き倒した結果一番速く育ったパーモット。『スカーレット』も買っているのでガラリと面子を変えて取り組みたい。

 

始まる前は開催地の事情やら思い切り各リーグに影響を及ぼす日程やらでかなり気分が盛り上がっていなかったワールドカップ。しかし終わってみればこんなに楽しかったイベントはないと思えた。
一世一代の采配を2度も見せ、胆力ある勝負師としての一面を「本番」で知らしめることとなり我々(と言い切りましょう)に手の平を返させた森保監督と一人だけステージが違った三笘が凄かった日本を筆頭に、サウジアラビアの大アップセット、リシャルリソンのバイシクル、ソンフンミンのラストパスとグループステージだけでも印象に残るシーンが多かったが、決勝トーナメント、特にベスト8以降はどの試合も圧倒された。
大会を通じてのベストの一つと言えるネイマールのゴールを物ともせず追いつきPKという自らの土俵に持ち込んだブラジル戦が特に印象に残った老獪なクロアチア、ゴタゴタからのパワープレーの中最後の最後でオランダが決めたトリックFK、獅子奮迅のアムラバトと速いだけでなく確度も高いカウンターで代表とは思えないチームとしての質の高さがあったモロッコは特筆すべきだろう。
そして決勝。(パレデスのアレやエミマルのアレはどうかと思うが、それでも)死闘を経てメッシという誰もがその偉大さを認めるプレーヤーが栄冠を手にするという結末には心が震えた。歓喜に湧くピッチにアグエロがいたのも嬉しかった。不本意な形でピッチを去ったが、それでも確かに彼が残したものもこの幸せな結末を迎えるための礎になっていたことが伝わってきた。そしてフランス、ムバッペという男の並外れた才もまた世界最高峰であり、王者は2人いたとしか表現しようがない。フットボールに本格的に親しみ始めてから初めての W杯でこんなものを見せられたら、ずっとこのスポーツから離れることはできないのではないかと思わされた。

 

通年で楽しんだコンテンツとしては『大喜る人たち』がある。一番好きなのはこの回。

www.youtube.com

お笑いはテレビ番組や配信ライブで色々と親しんだが、一番笑ったものとしてパッと思い出せるのは『チャンスの時間』のTKO木本タイムリープ回か。他には『マヂカルクリエイターズ』のキック、佐久間宣行のYouTubeチャンネルでの『100ボケ100ツッコミチャレンジ』のランジャタイ真空ジェシカきしたかののYouTubeチャンネル。『千原ジュニアの座王』を土曜の朝食後に見るのがルーティンになった年だった。『座王』繋がりで言及しておくと、堂前のネタ平場問わないスベり知らずさには驚かされるし、ネタ中顔芸だけで説得力が出せる兎にも笑ってしまうし、KOCでもM-1でも面白かったのでロングコートダディがかなり好きになった。

他の配信コンテンツとしては『有田哲平のプロレス噺【オマエ有田だろ!!】』が前番組と変わらないクオリティを保っており流石だと思った。『ソウドリ』でも平成ノブシコブシ徳井という秀逸な観察眼の持ち主を従えて取り組んでいるように、役割を引き受けて構造を語ることを躊躇しなくなった有田がM-1やKOCの審査員を務めてくれたら嬉しいのだが。

以前ほどアニメや声優関連のコンテンツに触れなくなってしまったが、まぁゆりは相変わらず面白く、会沢炎上から垣間見る会沢紗弥は相変わらず信頼でき、青木瑠璃子は相変わらず配信が上手すぎた。期待していたニジガクアニメ2期はあまりにもテーマをご丁寧に言語化しすぎていてもうちょっと視聴者を信頼してもいいのに......と思ったが、ミア・テイラーが鐘嵐珠にかけた発破は最高だった。小泉萌香はクールだ。

ベイスターズは........................各個人は素晴らしかったと思うが、ここで勝たなければという試合を悉く落としていたので、順位とこちらの満足度に大きな乖離がある。とりあえず今年のヒーローの一人であった大田泰示の素晴らしいプレーを貼ってお茶を濁そう。

www.youtube.com

youtu.be

 

2023年に心がけたいことは「健康」「音楽を聴く」です。
中々難しい時世が続きますが、この文章を読んでくれているような皆様との交流で日々をやっていけていますので、こちらからも何かを提供できたらいいなと思いながら過ごしています。
これからも無理しない範囲でどうにかやっていきましょう。よろしくおねがいします。