ブログで言及してなかったけど今年良かった人・もの2021

牧秀悟

正確には言及してなくはないけど単独で取り上げたことはないので改めて......枠その1。

グラウンド上以外のところでもあらゆる面で粗さが抜けず、納得感しかない最下位フィニッシュだったベイスターズにおける数少ないポジティブ要素。守備位置によりもたらされるアドバンテージや打撃での高い適応力といった点もさることながら、ベンチでの姿勢や落ち着き払った言動等から間違いなく今後チームを引っ張っていく存在になることがうかがえ、彼と共にあるチームの未来を見続けていたくなる。


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チーム全体としては、シーズン自体は三浦新監督の経験値蓄積期間と割り切りつつ(それにしたってどうなのよと思う采配や人事もなくはなかったが)、未来に向け既存戦力のキープと怪我持ち若手を尽く手術させるといった懸念事項解消に加え、大きな穴だった実績のあるコーチ陣の招聘に成功、と今後数年で勝負をかける下地作りはうまく進められているように映る。リリーフ陣の消耗具合がどうしても気になるが(2017年の日本シリーズ進出時とほぼ陣容が一緒というのが恐ろしい)、来季はCS狙い、平良が戻ってくる再来季は優勝、というこちらの青写真が現実になるよう願う。

 

ベルナルド・シルバ

正確には言及してなくはないけど単独で取り上げたことはないので改めて......枠その2。

まだランパードが率いていたチェルシーとの一戦で炸裂したギュンドアンのターン&ゴールから始まったマンチェスター・シティの1年は、途中CL決勝敗退という途轍もない無念を味わうことこそあったものの、終わってみれば前評判通りの安定した強さが継続されていたと言っていいだろう(各々の試合を見るとスッキリ快勝という試合はあまりなかったが)。

今のシティは(デブライネが今ひとつ本調子に戻りきらないのもあり)特大の"個"によって引っ張られるというよりかは全員がひたすら有機的に作用しあって形作られているような印象だが、それでもベルナルド・シルバの存在の大きさには言及しないわけにはいかないだろう。攻守で労を厭わず走り回るスタミナと献身性・多人数に囲まれても球を失わないスキルを持ち合わせ、それに加えて年の終わり頃には素晴らしいゴールまで決めてしまうようになったこの決して屈強とは言えないポルトガル人が披露する泥臭さと華麗さを兼ね備えたプレーを週に一度見るために、自分はこのタフな日々を過ごしていたといっても過言ではないかもしれない。

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その他スポーツ

終戦までどうなるかわからず目が離せなかったMLBプレーオフ争い、もどかしい展開が多かったもののその分1点のカタルシスが大きかった日本シリーズ、半ば仕掛けられた形とはいえ余りにも劇的な締めくくりだったF1最終戦といったところが印象深い。来年もDAZNの料金の元を取り倒す勢いで観戦を楽しみたい(願わくば現地で楽しむことも気兼ねなくできるようになれば......)

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久川凪 (立花日菜) 『14平米にスーベニア』

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歌の中の"Yeah"という言葉には様々な意味が込められてきた。迸る情熱、心からの喜び、笑うしかない自嘲、それがどんな場面であれ、何がしかの感情を開放するものであったはずだ。しかしここで歌われる"Yeah"——クレッシェンドしてからデクレッシェンドするという、我々が未だかつて耳にしたことがなかった特異な"Yeah"——には、今の世の中に蔓延る、不確かなものであるはずの感情を無批判に誇張し粗雑に扱う風潮への慎ましやかな照れと疑義と抵抗が示されている。無闇矢鱈に浮足立つことなく日々を生きる中での新たな門出、そんな特別な状況に踏み出していく自分を後押しし心を軽くする小さな彩り。まさしく『14平米にスーベニア』という生活の場面にふさわしい軽やかなグルーヴとオリジナルな"Yeah"。

 

まぁたんゆりりん

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素晴らしいものは案外単純な成り立ちでできていたりするが、この声優番組もそれに当てはまるだろう。Machicoの何も考えていないアッパラパーなボケと駒形友梨の当たりが強い的確なツッコミによる掛け合いの一本槍でここまで愉快なものが仕上がるのだから恐ろしい。今年下半期最強のノーダウトコンテンツ。アラサーを過ぎても爆モテするようになっても続けてください。

 

会沢紗弥のエンディングは上機嫌で

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数年前、世に出たばかりの会沢紗弥はその「インターネットっぽさ」への深く明晰な理解を我々に示し続けることで他の「高ネットリテラシー声優」の存在を過去のものにしたが、その思慮深さによって「おもしろインターネット概念わかり手」的ポジションの無意味さに気付いたのか、そういった側面のアピールを徐々に控えるようになってきた。
一方、人との距離感を掴めないおたく達は理解者が現れたとばかりに今に至るまで会沢の言動にはしゃぎ続けており(当然ながらこんな文章を書いている筆者もここに含まれる)、開始当初のこの番組は彼女の奮闘に甘えたそんな連中のお寒いノリに辟易させられる厳しい内容だった。
しかし、ここ最近は会沢がおたくに対する適切な距離感(いなしたり無視したりだけではなく刺す必要がある時は容赦なく刺す)を保ちつつ、一人喋りやゲストとの語らいを通じて一人間としてのブルーズを垣間見せることで番組内容に面白さだけではなく深みが与えられており、知性とユーモアと矜持を持ったエンターテイナーとしての彼女への信頼は増すばかりである。

 

テレビ千鳥

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なんだかんだで一番毎週楽しみにしていたテレビ番組はこれになる。今年も秀逸な企画が多く沢山笑ったが、なんといっても一番は「面白新キャラクターを作ろう!!おっさん芸人応援宣言」。温かい涙が流れれば流れるほど笑えるという仕組みは悪趣味というより最早普段我々が依拠するモラルの心もとなさに揺さぶりをかける試みにすら映ったし、見ているこちらも感動と爆笑が同時に湧き上がって心も顔もグシャグシャになるという新鮮な体験。「大ジャンプだ、原田!」

 

その他コンテンツ

Dr. ハインリッヒ『砂漠』

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年末にピッタリ

 

シンデレラガールズ10thライブ名古屋公演の飯田友子

Hotel Moonside』をバリバリに踊りながらヘッドセットで歌っており、最初に披露されたあの2015年のパフォーマンスからは比べ物にならないくらいの進化を遂げているにも関わらず誰も見ていないというもったいなさすぎる状況。これもひとえに「固定客(信者ともいう)以外無視」の方針に舵を切ったバンナムコロムビアの責任によるものであり、この先も演者さん達の質は向上していくのに新たな受け手との出会いが生まれることはないと考えると気分が暗くなる。ごちゃごちゃ言わず一刻も早くサブスク卸せ。

 

Calibre, DRS, Mark Ernestus 『Bad / Badder』

体を動かした時や重い食事をした時よりもSpotifyを開いている時に一番自らの加齢を実感してしまうようになった(昨日もUnderworldを聴いていた)。今年はもう新譜もほとんど聴かなかったがこれは好きだった。移ろっていくスタイルの中でもダブの命脈は絶えないことが示されている。

 

新橋「らーめん 谷瀬家」

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初訪問はコロナ禍前だけど今年久々に食べて相変わらず非常に美味しかったので。横浜市民ではあるものの家系はあまり好きではなく積極的には食べない身だがここは別。スープにイヤなギトギト感も粗雑な風味もない。ウーマです。

 

じゃがりこ 野沢菜こんぶ味

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最新のハマりもの

 

番外編 良いとはいえないけど言及した方がいいかなと思ったこと2021

FIFA22

楽しんではいるが苛立つ時間の方が長くなっており精神衛生に良くないなとは思っている。それでも止められない(どうしても辛抱できず間隔を開けた際もインターバルは1週間)ので来年はこの依存症気味なゲーム欲をどう制御するかに向き合いたい。

 

セルヒオ・アグエロ引退

5月のシティ最終戦での2ゴールを見た時はこんなことになるとは思ってもいなかった。不本意な形で偉大な選手がスパイクを脱がなければならなくなるなんて、と未だに考えてしまう。

シティを追いかけるようになってからすぐのアストンヴィラ戦で、ハットトリックを達成したアグエロを見た。今よりもはるかにフットボールに対する理解度が低かったにも関わらずその凄さはなんとなく感じられた。
その後の彼は怪我で苦しんでいた期間が長く、こちらが彼の本領を目にする機会をあまり得ることができないまま退団と移籍が決まってしまった。それでも、カンプノウや他の場所でもいいから、ストライカーとして彼が輝く姿がまだまだ見たかった。

あのQPR戦のゴール、そしてその前後にアグエロが決めた数多のゴールがチームのみならずスタジアムに集う人々や街にもたらしたものに思いを馳せるとたまらない気持ちになる。
そしてまだまだ彼は今までそうしてきたように素晴らしい瞬間を紡ぎ出し、喜びや興奮を我々に感じさせてくれたはずだっただけに残念でならない。こういう時、こちらはどうすればいいんだろう。何ができたんだろう。何ができるんだろう。そもそも何かができると思うことすらおこがましいのかもしれないが......

ずっとそんな思いを抱えている。

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