UEFAチャンピオンズリーグ 2020/21 決勝戦 マンチェスター・シティ vs チェルシー

この敗戦が様々なメディアで言及されているように「ペップの考えすぎによる失策」だとは必ずしも言えないと思う。昨年のリヨン戦のようにいきなり当たったのならともかく、リーグ戦でも国内カップ戦でも相まみえ、そのうち直近2戦で敗れている相手だ。ただただ上手く対策され(ジェームズとチルウェルが両ウィングを徹底的に抑える)、ハイパーな個の力を凌駕するほどの組織力を見せられなかった(カンテをバロンドールに推す声を見かけるがこの試合でのパフォーマンスを見る限り同意したくなる)。プレミアリーグでも来季はどうトゥヘルチェルシーに対抗するかが各チームの主題になるだろう。こういう結果に終わることも予想の範囲内ではあった。

それでも心が痛むのは敗戦そのものが原因ではない。顔から相手と衝突し(眼窩底骨折かもしれないらしい)、なんとか出場し続けようとするもチームメイトに説得されて涙ながらにピッチを後にしたデ・ブライネの姿が脳裏から離れない。アグエロのシティにおけるストーリーを理想的に締めくくることができなかったのも残念だが、応援するチームが大一番で敗れる姿を目にするにしてもこんな理不尽な未練が残らない形であってほしかった。こちらはただ観戦しているだけで選手やスタッフが今直面している心情とは比べようがないかもしれないが、こういった体験もまたスポーツを見ることの意義の一つなのだ、とまた言い切れるようになるにはもう少し時間が必要だ。